カメラ商品の次機種に搭載を予定していた2つのキー半導体同士が接続できない(正確に言えば電気的には接続できるが、データの送受信が出来ない)という問題が発覚して、会社がパニックに陥っています。。入社して5年が経ちますが、ここまでカオスになったのは初めてですね。連日ミーティングに次ぐミーティング。。。
その2つの半導体はまさにカメラの性能を決定付けるとても重要なもので、それぞれ別の半導体ベンダーに設計をお願いしていました。これまで何年もかけて両社と協議してきたのですが、具合が悪いことにどちらの半導体も設計がFixし、量産開始後に今回の設計ミスが発覚しました。両社との窓口をやっている僕にも火の粉が飛んできています(汗)
ベンダーからの情報によると、修正にはおおよそ2年くらいかかるとのこと。そして費用はまだ見積もり中ですが、多分数億円掛かるんじゃないでしょうか。
ほんの一部の論理回路のミスなのでデータの修正自体はPC上でささっと終わるはずですが、既に量産に入っている半導体を作り直すには、クリーンルームの工程の修正、リソースの確保等々でとてつもなく大変な作業が必要になるのです。設計をミスったエンジニアが社内で激しく糾弾されてなければいいけど。。。
ミスったのはベンダー側なのでうちの会社の費担負担は無いですが、2年間スケジュールが遅延するとなると我々もその間カメラを発売することが出来なくなってしまうので、社内で大きな問題になっています。代替案を必死で探してはいますがそう簡単に見つかるはずもなく、、、多分これから数か月は議論が続くことになるでしょう。
ところで今回の設計ミスは、設計難易度が高くて起きたわけではありません。ベンダー同士で互いの半導体に接続するためのインターフェース仕様を確認するよう依頼していたのですが、この確認時にコミュニケーションエラーが起きたことが原因でした。単なるケアレスミスのようなつまらない話です。
このように半導体ベンダー同士の意思疎通がうまく行かないことは度々あります。
何故か?
半導体ベンダー同士は、カメラやスマホ等のデバイス内で半導体を接続する上ではパートナーですが、一方では半導体業界でシェアを奪い合うライバルでもあるからです。
自分の会社の半導体の技術的なディティールを開示すると、他社に技術を盗まれてしまいます。そのために上辺の仕様だけを公に開示し、その他の多くの部分はブラックボックスのままにしようとするのです。
今回の件はそんな半導体業界の闇が垣間見えた事故だったと思ってます。