脱力系ぷかぷかドイツ日記

脱力系ぷかぷかドイツ雑記帳

ヘッセン州の田舎町でデジカメの開発してます

ぷかぷかイタリア旅行 ②フィレンツェ

2019年12月14日~21日までのイタリア旅行の記録。

ローマ(2泊)→フィレンツェ(3泊)→ヴェネツィア(2泊)

 

②フィレンツェ

 フィレンツェは町自体が世界遺産に登録されており、"花の都"と言われるだけあって、どことなくロマンチックな雰囲気で散歩しているだけで楽しかった。どのレストランも壁の装飾や家具にこだわりが感じられ、カラフルではあるがどこか落ち着きのある独特の色彩が特徴的だった。初日に入ったトラットリアは夫婦が二人で営んでいて、奥様は英語が苦手であることを詫びながらも、丁寧におすすめを説明してくれた。彼女の鮮やかな服はインテリアによく馴染んでいた。その店は夫婦で手作りで生み出した(世間から干渉されることのない)彼らの城なのだ、と思った。
 
 ローマの石畳のせいで足が痛かったのでフィレンツェ滞在中は少しペースダウンしてゆっくりと過ごした。フィレンツェのシンボルであるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂、通称"花の聖母教会"の近くのカフェで足を休ませながら、敢えて持参していた「クラウン ドイツ語単語1600」を黙々と勉強したのはいい思い出だ(笑) ピサには鉄道で行って、斜塔とドゥオーモだけ見て日帰りでフィレンツェに戻ってきた。
 
 シンボルの聖母教会は建設に175年(!)かかったらしい。ということは若い時からずっと建設に携わっておきながら、完成した姿を見ることなく死んでいった者も沢山いたのだろう。想像を絶する作業だ。
 
 現代ではどんな国でも建設に175年かかるプロジェクトに予算はつかないだろう。例えば日本の国土交通省に、建設担当者が(老衰によって)まるっと途中で入れ替わる計画を立てるなんて芸当はできっこない(笑) さらに、驚くべきことに最近のある中国メーカーの発表によると、建築用3Dプリンターを使えば24時間以内に家が一軒建つらしい。今は合理性が優先され、クリアな青写真が描けないプロジェクトは排除される時代だ。
 
 昔はよかった、という話ではない。変な言い方だが逆に計画なんて立てずに作業をしたからこそ聖母教会は完成したのではないか、ということである。ルネッサンスの立役者達は"価値あるものをつくる"という点で恐ろしくピュアだった。それが自分の目でフィレンツェを見てきた一番の印象だ。どのくらいの時間やコストがかかるかという問題は、彼らには二の次だったのだろう。もちろん当時の宗教的・政治的要請と創作は切り離せないだろうけれど、彼らの志は創作物の隅々に行き渡っている。特に聖母教会の緻密な外壁は見ているだけで時を忘れてしまうほど素晴らしかった。
 

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