脱力系ぷかぷかドイツ日記

脱力系ぷかぷかドイツ雑記帳

ヘッセン州の田舎町でデジカメの開発してます

ドイツ人の楽観的な気質について

 ドイツに来てから既に何度かAmazonで買い物をしているのですが、不在時に荷物が届いた場合再配達をしてくれることはなく、荷物は大抵同じアパートの住人のどなたかに引き渡されています。アパートのチャイムを適当に押して出てきた人に渡しているそうです。誰も出て来ないときは、近くのお店や郵便局に届くことになります。(もちろん日本と同じく受取場所指定のサービスはありますよ。)日本では考えられないことですが、ドイツの運送会社はこのように配達コストを下げているのです。ポストに入る不在時伝票に代理の受取人の名前が記載されており、その人の部屋を訪ねて荷物を受け取ります。この間いつも若干そわそわします。受取人が変な人だったら中身を見られたりするかもしれませんしね(別に見られてまずいものは入ってないけどさ)。でも配達する側はそんな事気にしていない。つまりこのシステムは見ず知らずの人に対する信頼をベースに成り立っている訳です。実際、結構値の張る車用のBluetoothアダプターを買ったときは、おそらく受け取った人が面倒だったのでしょうが、私の部屋のドアノブに外から無防備にかけてあったこともありました。。これは、誰かが持っていってしまうかもしれないと考える人なら絶対にやらないことです。

 あくまで私個人の印象としての話ですが、悪いことが起きることを疑わないというのはドイツ人の一般的な傾向のような気がします。厳密に言えば、もちろんその"悪いこと"自体を思い付いてはいるのだけれど、それについて真面目に考えたり几帳面に対策することをよしとしない。なぜならコストがかかるからです。実際日本の再配達の仕組みの裏で、スタッフの過剰労働が問題になっていることはご存知の通りです。一方でドイツの運送会社は日曜日は完全休業です。このような違いを色々な場面で実感します。例えばドイツでは健康診断も強制ではありません。そんなもの受けたい人だけ受ければいい、という考え方です。もちろんドイツ人でも個人レベルでは慎重な人もいたりしますが、システムレベルでは日本と大分異なります。

 上記のことが特に顕著に現れるのが、職場での開発プロジェクトの進め方です。こちらでは新しい企画を立ち上げる際、多くのことを楽観的に考えてスケジュールを立てるため、開発途中で頻繁に遅延が起きます。でもこれには良い点もあります。一つ目は問題が発生してから対策を立てるので、適切な手が打てること。これが労働生産性を上げる一つの要因になっていると思います(気をつけないと、対症療法的になってしまいますが)。二つ目は企画段階で細かくリスクを洗い出さないがゆえに、難易度の高いチャレンジングな企画でもとりあえず走り始められる点です。同僚の一人は「そもそも作ったことのないものを作るんだから、スケジュールなんて立てられるはずがない」と言っていました。逆に言えば、きちんと当初のスケジュール通りに事が運ぶということは所詮その程度のレベルの企画だということかもしれません。

 でも、目をつぶってきた"最悪のケース"が実際に起こってしまうと為す術がないのです。私は既に何度か、ただただうろたえるだけのドイツ人を見たことがあります(笑) 私が関わっているあるプロジェクトなんかだと、一昨年の9月にプレスリリースで商品発表した後に致命的な問題が顕在化し、未だに発売してませんから。。 もう既に世の中から忘れられているでしょうが、発売を断念した訳ではなく未だ対策中なんです(笑)

 

会社の窓越しに外を撮影↓ 冬本番

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