脱力系ぷかぷかドイツ日記

脱力系ぷかぷかドイツ雑記帳

ヘッセン州の田舎町でデジカメの開発してます

映画)タロウのバカ__大森立嗣__2019

www.taro-baka.jp

 3人の若造が学校にも行かず、目に映るものを片っ端から破壊し、人を殺し、やりたい放題に暴れまわる話。映画の冒頭からもういきなり、自分も昔感じていた理由のない怒りのようなもの(そして今もまだ形を変えて体の中にきちんと潜んでいるそれ)がフラッシュバック&シンクロナイズしてたまらなかった。

 柔道のスポーツ推薦で高校に入ったエージ(菅田将暉)は、高校を辞める日に元気よく「こんにちはー!」と柔道部の練習場所に喧嘩を売りに行って、盛大に投げ飛ばされまくるシーンがあるのだけれど個人的にはそこが一番良かった(笑)その後学校に行ったことがないタロウは、エージからもらった歴史の教科書(もう学校辞めたからタロウにあげた)の戦争についての記述のあるページを見ながら「死んだらどうなる?」とエージに質問する。

「どうもならん。まっくら。」

「死ぬときどんなに苦しくても声出さずに死ねる?」

「バカ、どうせ死ぬんだからどんなに苦しくたっていいだろ」

「そうだな」

  これ、本当か?どうせ死ぬんだから、苦しくたっていい。理屈が通っているような、通っていないような。というかこの会話で合ってたっけ。なんか違うような(昨日観たのに思い出せないってやばくない?酒のせいか?)

 監督のインタビューによると、数年前の相模原の障害者殺傷事件が彼にもたらしたショックが遠い所でこの映画と結びついているらしい。犯人は被害者のことを「生きている意味がない人間」と言ったらしく、それは“意味”や“価値”でがんじがらめの現代社会が言わせたともいえるかもしれない。そんな危機感を爆発させるように行き場のない(そして意味もない)乱暴行為をはたらく若造の姿は、観ていて爽快なほどだ。狂った映画のようでも、モチーフはまっとうな気がする。