脱力系ぷかぷかドイツ日記

脱力系ぷかぷかドイツ雑記帳

ヘッセン州の田舎町でデジカメの開発してます

コロナやばいぜ from ドイツ ②

 この辺りでは外出禁止令こそ出ていないのですが、私も例に漏れず会社から自宅待機を命じられておりずっと家で引きこもり生活を続けています。先週末の時点で5月末までの勤務について会社から判断が下されました。まず今週からイースター休暇までの2週間は会社のオペレーションを全面的にシャットダウン、社員は強制的に休暇となりました。イースター休暇明けから5月末までは時短勤務となりますが、なんと週に一日の勤務しか認めないとのこと!なんだそりゃ!とにかく、これから6月までの2か月間ほとんど仕事をせずに家で過ごすことになりました。状況次第ではこれが最長で8月まで続く可能性もあるとのこと。こんなに長くて何もすることがない春休み(夏休み)は人生で後にも先にも今回だけでしょうね。人と話すこともなく2か月も家に引きこもっていたら心の病気になってしまうかもしれないので、、2つ目標を立て行動することにしました。

 まず1つ目が、料理。これまで基本的に会社に行く日は社食でしっかり栄養のあるものが食べられたのですが2週前に在宅勤務を命じられてからというもの本当に困っていたのです。コロナ対策でレストランも閉まっているし。。スーパーでパンとかパック詰めの野菜とかを買って適当にしのいでいたのですが、同じ食生活がこれから2か月続くと考えると流石に憂鬱なので、この際基本的な料理を作れるようになろうと決意しました。実は一年くらい前に同じ決意をしその時は道具をそろえるだけで終わったのですが、そのおかげですぐに料理を始められる状態になっていました(笑)ドイツのスーパーは日本と比べても食材(特に野菜)や調味料の種類が豊富なので料理が好きな人にとってはいい環境ですが、いかんせん全てがドイツ語表記なので出だしから非常に苦戦しています。鍋のだしとか塩コショウに相当するものは未だにどれなのか分からないし、サラダに使うシーザードレッシングだと思って買ったのはタルタルソースでしたー!(笑)

※余談ですがこういうドイツ語が読めないが故の買い間違いあるあるはよく聞くのですが、1番ひどかったのは半年くらいシャンプーで皿洗いをしていたことに気が付かなかったというもの(笑) (これは私の友人の経験談なのですが、逆じゃなくて良かったですね。そしたらもう今頃彼の髪の毛はないでしょう。) まあ全体的に、買う前に辞書で確認すれば済む話なのですが(笑)

 今はこんな風に全てのステップでつまずきながらですが、YouTubeを参考にしてなんとか料理をしています。今から2ヶ月後には少しはまともになっているかな!?

 2つ目の目標は仕事関連ですが、OSをきちんと理解しようというもの。特にデジカメ等の組み込みシステムに使われるリアルタイムOSとファームウェア周りの勉強を始めました。私の本来の専門領域は画像処理系のハードウェア開発なのですが、上記のような下層側のソフトウェアに対する理解の必要性を常日頃から感じていたからです。近年のシステムLSI開発では高機能化による回路規模の増大により、複数社でIPコアを共用することによって製品単価を下げることが常套手段になっています。(この辺りの他社との交渉はマネーゲームとも言えるような政治的なもので、たくさん金を出した会社が優先的に要求仕様を入れられます。)そしてもちろんハードウェアについてまわるファームウェアとOSの実装も他社と協業することになるため、往々にしてハードウェアの仕様と一緒に議論されるのです。これまではこのようなソフトウェアの話は正直私の専門外のため、ブラックボックスとはいかないまでもグレーな領域で、時折ハッタリをかましながらやっている状況でした(笑)

 エンジニアだったらきっと皆こういうグレーな領域があるのでしょうね。私がこれまでの経験上重要だと感じていることは、グレーな領域がありながらも(教科書を開くのではなく)まず議論の中に飛び込んで大きく雰囲気を掴んでくる、という姿勢です。これは一つのスキルと言っていいかもしれません。もちろん完全にブラックボックスだとこんなことはできないのですが、概要を知っているなら議論に突っ込んでいってやいのやいのと適当をかましながら、その中で「あの言葉はこういう意味だったのか」「この話とあの話はこう繋がっていたのか」と学んでいけばいいのです(笑) その時、そんなこと当然もともと知っている、というどや顔をするのを忘れてはいけません(笑) それからもう一点、周りがなんでも知っているように見えても、それに騙されてはだめです。大体皆同じようにハッタリをかましているだけですから(笑)

 とはいいつつも、これから2か月暇だしこれまで放置していたソフトウェアの方もちゃんと勉強してみようというわけです。今でも組み込み系システムではLinux単独で動いているわけではなくリアルタイム処理が必要とされるブロックについてはμITRONを使っていることがほとんどです。Windowsのように名前が表に出てこないので知らない人も多いのですが、世界中で使われているこのμITRONというOSは実は日本製で、東大の坂村氏によって開発されたものです。学部3年の時に坂村氏が書いたコンピュータサイエンスの一般向け書籍を読んで感動した経験は今から思えば私が工学の世界を志すきっかけの一つになりました(その当時は理学部物理科所属)。μITRONと聞くと学部卒業後の進路をどうするか考えていた頃のざわざわした気持ちを思い出します。