最近はなんか仕事のプレッシャーで柄にもなくピリピリしてます。。僕が担当している次期半導体チップの開発の方向性が決まる重要な局面に来ているからです。半導体の開発にはお金も時間もものすごくかかるので、スタートの時点で方向性を間違えると一気に業界の中で取り残されてしまうことになります。
そしてその運命を実質的に握っているのは(脱力系)半導体エンジニアである僕です。 ぺーぺーに毛が生えた程度の平社員である僕が何億円規模の開発の手綱を握っているというわけです(汗)
というのも、ドイツ企業では社員の職責の範囲が明確に決められているので、基本的に皆担当外のことには口を出しません。また、各設計マターについては担当エンジニアに決定権があるのでマネージャーも技術的な詳細まで把握してません。ということはどういうことになるかというと、社員同士の仕事のオーバーラップが極端に少なくなり、エンジニア達は「この話大事なんだけど、社内で俺しかちゃんと考えてる奴いないよなー、やばくねー?」みたいな感じの開発トピックを抱えることになります。 そして僕が今それで苦しんでいる状態です(笑)
僕はドイツに来る前は日系メーカーで今とほぼ同じ仕事をしていましたが、上司や他部署の経験豊富な人達がコメントをくれたり、マネージャーの承認プロセスがあったり、開発が変な方向に進むのを防ぐたくさんの機会がありました。ドイツではそれが少ないんですよね。これがドイツ企業の(最近気が付いてきた)ヤバいところです。担当者がミスったらそのままビジネスに大穴が開きかねません。
ソフトウェア開発だったらいくらでもアップデートで修正できるんですが、ハードウェア開発は修正不能なので失敗したら大変なことになります。仕様が決まってから量産まで1~2年かかるのが普通なので、ダメージがとてつもなく大きい。この辺のプレッシャーは同業者にしか分からないでしょうね。。
しかしドイツ式の働き方だと、意思決定が早かったり残業がなかったりいいこともあります。この辺のことは以前下の記事でも書きました。外資系企業で働くことに興味がある方は是非読んでみて下さい。
あとこれも未だに慣れないのですが、ミーティング中に僕の担当周りの事が話題に登ると、部長レベルのマネージャーからいきなり「君の意見を聞きたい。うちの会社は今後どうするべきなんだ?」と直接聞かれることがしょっちゅうあります。
これ、最初カルチャーショックでしたね。日系企業にいたときは、会社の中長期的な方針なんてものは若い社員には手の届かない”雲の上の偉い人達”がどこか知らない所で話し合っていて、決定事項だけがふわっと天上から舞い降りてくる、みたいな感じだったので。小さなベンチャー企業でもない限りどこでもそんな感じじゃないでしょうか。そもそも大手の場合、部長が若い社員に話しかけること自体があまりないのでは。。?
外資系企業への就職を目指す若い人はこの点覚えておいた方がいいです。平社員でも自分の担当分野については部署のトップから突然意見を求められます。"あなたはこの分野のプロでしょ。あなたはどう思いますか?"って。油断しているとものすごい緊張が走りますよ(笑) 何も言えなかったらダメ社員ということになりますし、妙なことを言えば先に述べたとおりビジネスに影響が出ます。平社員(という言い方はドイツではしませんが)でも責任重大なんです。常に業界の動向を見ながら、自分なりのポリシーをもって仕事と向き合う姿勢が大事です。
ドイツに来て3年経ちましたが、最近改めてここで生き残っていくのはそんなに甘くないことを痛感してます。すごく自由で働きやすい環境だけど、精神的な負荷は高いです。。
でもポジティブに言えば各社員に仕事の大きな裁量が与えられているということなので、、それを楽しんでやっていきたいですね。
このくらい、どしっとしていないとな