2005年頃読売新聞の夕刊で連載されていたらしい本作。太田光が大絶賛したということで読んでみました。(馬鹿みたいなのでもうこの本の選び方止めようと思いますが笑)やっぱりいい小説でした!
不倫相手の赤ちゃんを誘拐し、数年にわたって逃げ回る女性の話。
女性は場所を転々と移りながら、誘拐した女の子に深い愛情を持って暮らします。最終的には逮捕され離ればなれになるのですが、それでも女性はどこか知らない場所で生きている女の子の幸せを心の底から願っている。そして自分自身も、自分の人生を生きている手応えをどこかで感じているんです。懲役を食らい、”社会的には”とうに死んでしまったとしても。
この女性の人生は間違いなく愚かではあるのだけれど、正直でとても美しいんですよね。こんな風に人と繋がれることがうらやましい、とさえ感じました。
「結婚」「家族」等、社会の既成概念と徹底的に闘う角田光代らしい作品です。本作は、「幸せな人生とはどんなものか」について読者に新たな視点を示します。
そして何よりラストが素晴らしい!元誘拐犯と成人した女の子の運命が交錯し、、(この辺で止めときますね)
東京から逃亡を始めた主人公は最終的に瀬戸内海の小豆島にたどり着くのですが、島の風景の描写がとても美しくて綿密な取材の元に書かれたんだろうなぁ、と感じました。今まで全然知らなかったけど小豆島って海や山、オリーブ園、棚田等々、、とにかく自然豊かで、のんびりするのに良さそうな所ですね~ いつか行ってみたいです。