脱力系ぷかぷかドイツ日記

脱力系ぷかぷかドイツ日記

2018年8月にドイツ企業に就職・移住したカメラ好きエンジニアのぷかぷか日記です

カメラの値上げがヤバすぎる件について開発者が解説します

先日ソニーやキヤノン等のカメラメーカーが一部の商品を値上げすることを発表し、カメラユーザー達の間で話題となっています。ガソリン代や電気代をはじめとする様々なものの価格上昇が話題となっている昨今ですが、ついにデジカメ業界にも波及してきてます。。。

dc.watch.impress.co.jp

 

ソニーの公式の発表によると「昨今の半導体不足をはじめとする外部環境の影響を受け、原材料費、製造・物流コストなどが高騰していることが理由」とのこと。

 

コロナパンデミックとロシアの侵攻のダブルパンチで電子機器業界はかなり混乱してますね。あとソニーは言及していないけど、円安になっていることも値上げの要因のはずです。

 

でもことカメラに関して言えば値上げは今に始まったことではないんです。。僕の感覚的にはコロナよりずっと前からカメラの価格は上がり続けています。

 

目次

 

一体何が起こっている? ミラーレスカメラの価格の変化

ソニーが2013年に世界初のフルサイズミラーレスカメラ"α7"を発売した当時、ボディ単体の価格は15万円でした。(なんか懐かしいな)

 

そして今現在の各社フルサイズミラーレスカメラの看板商品の価格は以下の通り。

 

ソニーα1(2021年3月発売) 88万円

キヤノンEOS R3(2021年11月発売) 75万円

ニコンZ9(2021年12月発売) 70万円

 

ボディだけでこの値段ですよ。。レンズを数本買ったらすぐ100万円超えます。完全に異常な価格設定です。もちろん安いモデルもありますが、今現在の最先端のカメラを買おうとするとこの位が相場なんです。。α7発売からたったの10年弱でこんなに変わるなんて。。。一体何が起こっている?

 

あくまで個人的見解ですが、カメラが高くなった理由は主に下の4つだと思います。

 

カメラが高いワケその1 搭載する機能の増加に伴い開発費が増加した

当たり前っちゃあ、当たり前ですけどね。僕は2012年からデジカメ開発をしていますが、この10年間の機能の進化はすさまじいものがありました。今やカメラ自身が自ら被写体について認識・学習するAIの塊のような代物になってきています。本当に機種を重ねるごとに開発が大変になっていくんです。。。その分カメラ開発に必要な作業量が増え、開発費が増えたというのが価格アップのシンプルな理由でしょう。

 

ちなみに今僕が開発に携わっているカメラに搭載される予定の画像処理エンジン(カメラの頭脳ともいうべき半導体チップです)の仕様書は1万ページ以上あります(笑) 前機種は8千ページ位でしたがさらに増えました(笑) もはや機能の全体を理解している人間など社内に(というかこの世界に)一人もいません。デジカメの開発はかなりクレイジーな領域に突入している感じがしてます。

 

カメラが高いワケその2 半導体チップの価格高騰

カメラに搭載される半導体チップの単価自体も上がってきています。例えば今現在のフルサイズCMOSイメージセンサーって余裕で10万円越えてるんですよ。単なるチップがそこら辺のパソコンより高いです(笑)

 

以前は多くのカメラメーカーが汎用品のチップ(ASSP)を使っていました。なのであるメーカーのカメラを分解すると、よそのメーカーと同じチップが載っているなんてことも良くありました。どちらかといえばハードウェアよりソフトウェアの処理で各カメラメーカーの個性が出ていたんですね。

 

しかしカメラ機能は徐々に複雑になり、各社各様の仕様となっていきました。そうなると汎用チップではもはや対応できないんですね。カメラメーカーは独自にカスタム仕様のチップ(ASIC)を半導体ベンダーにオーダーするようになったんです。そんなわけで最近はチップの単価がものすごく高いです。

 

カメラが高いワケその3 日本が海外と比較して相対的に貧乏になった

これは日本限定の話です。聞くところによると日本では給料も物価も20年前から全く上がっておらず、そんな国は先進国の中で日本だけなんです。逆に海外では給料と共に物価も上がっているため、日本は相対的に安く貧乏な国になってきています。

んで、カメラメーカーってほとんどが日本メーカーだけれど、当然メインのマーケットは海外にあるわけなので海外の物価基準の価格設定をしますよね。その価格を日本人が円表示で見るので、メーカーが値上げしたように見えるわけです。

(もっともらしく説明しましたが僕は経済のことは良く分からないです笑 興味がある人は自分で勉強して頂けると幸いです笑)

 

カメラが高いワケその4 スマホとの差別化

スマホのカメラ性能が上がってきたので、単なる差別化のための策としてカメラメーカーが付加価値を高めた高級モデルを売っているだけ、という側面もあると思います。

 

今後の展開

上記の状況は今後も続くと予想されカメラの値段が上がることはあっても、下がることはないのではないかと思います。。多分ニコンや他のメーカーもそのうちに値上げを発表するんじゃないかな~。欲しいカメラやレンズがある人は今のうちに買っといたほうがいいかも!?

 

※一方しばらく様子を見るのもアリかもしれません。というのも、あと数年待てばグローバルシャッターのイメージセンサを搭載したミラーレスカメラが市場に出始める可能性があるからです。そうなるとレンズ設計も含めてカメラ全体に革命が起きるはず。。まあ、この話をしだすと長くなっちゃうから、今日はこの辺で。。。