脱力系ぷかぷかドイツ日記

省エネぬくぬくドイツ暮らし

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本)会社のことよくわからないまま社会人になった人へ_池上 彰_2022

 

 

会社のことよく分からないまま10年以上社会人をやってきたので読んでみました(笑) 会社の成り立ちに関する基本事項に加え、SDGsや働き方改革等最近の話題まで解説されています。

あまり詳細に入らず簡潔に大枠をまとめた本なので、この本に書いてあることくらいは会社員なら知っておいた方が良いでしょうね。僕は知らないことも結構一杯出てきましたが(笑)

(あと、この本は主に就活中の学生や新卒社会人に向けて書かれているので、会社員の心構えを説く章があったり、「さすがにアラフォーの俺にその解説はいらねーよw」って思う部分もあるにはありました)

 

以下ざっくばらんな感想。

 

・「会社には大きくなる性質がある」という話、面白いと思いました。例えば少人数で始めたベンチャー企業の場合を考えると、創業当時は若かったメンバーも10年、20年と時が経つにつれ、結婚したり、子供ができたり、人生のステージが変わっていきます。そして歳とともに体力も衰えていくわけです。

そう考えると、いつまでも「平社員」で「安月給」というわけにはいきませんね。しかし小さなベンチャーの場合、社長、専務、部長くらいがいればそれで充分。あとは平社員です。マネージャーポジションを新たに設けて昇格のチャンスを社員に与えるには、支社を増やすなりして会社の規模を大きくするしかないのです。そうしなければ創業時から一緒に頑張ってくれた仲間の恩に報いることができないのですね。

 

これ言われてみれば当たり前なんですが、今まで気が付きませんでした。

おいしいラーメン屋が2店目、3店目と店舗を増やすと味がどんどん落ちていくじゃないですか? 僕は「なぜ店舗を増やすのだろう?本店だけでいいじゃないか。馬鹿だなぁ」と思っていたのですが、裏には規模を拡大しないといけない事情がちゃんとあるのですね。

 

・日本的経営(終身雇用、年功序列)が一概に悪いとは言えない、という話について。日本的経営にもメリットはあって、それはつまり「短期的には成果が出ないかもしれない難しい仕事にチャレンジできる」ということでしょう。

例えば、社員Aは毎週何らかのアウトプットを出して会社に貢献している。一方、社員Bは10年間何のアウトプットも出せなかった。しかし10年後長い試行錯誤の末にとうとう世界を変える大発明をした。会社は社員Aと社員Bのどちらが優れた社員か正しく評価できるでしょうか?

 

アメリカ式の成果主義は一見公平なような気がしますが、上記の例の場合社員Bは途中でクビになってしまうでしょう。そして社員Aが評価されるのであれば、皆が短期的にアウトプットを出せそうな仕事にばかり飛びつくことになるでしょう。これでは会社は競争力を損なうはずです。

 

成果主義が広がる昨今、世界中の会社員がこの問題に苦しんでいるのではないだろうか?という気がします。「俺はデカいことをするんだ!」みたいな若い人は本当にいなくなりましたよね。どこの会社も社員Aのような人ばかり。。。

 

そして社員Bを守れるのが”日本的経営”。「たとえうまくいかなくても会社は自分を守ってくれるはず」という後ろ盾がないと、誰も難しい仕事に挑戦できないのは当然のことです。戦後の日本の経済成長はこの日本的経営がベースになければ成り立たなかったでしょう。安易に成果主義を導入するのは考え物ですね。

 

・アメリカで始まった社外取締役の制度が最近は日本でも取り入れられているようですね。僕が働いているドイツ企業も同様で、取締役だけでなく部長などの管理職も社外から雇われることがあります。

社外から部長を雇えばその部長は人間関係のしがらみを気にせずズバズバと改革を実行できるというメリットがあるのですが、逆に言えば部長が無能だった場合会社側は情に縛られることなく即クビにできるということでもあります(笑) 2018年に僕が入社面接でドイツを訪れた時、面接をしてくれた部長はその数年後に突然姿を消しました(笑) あれはカルチャーショックでしたね。今頃どこで何をしているのだろう。。?

成果が出なければ即終了のハイリスクな契約なのだから、リターンもさぞかし大きいのでしょうね。。

 

・労働組合の委員長だった人が社長になっている会社は危ない、という話について。さすが池上彰、良く考えてるなぁ!

つまり取締役(経営陣)に問題提起するのが労働組合なのに、労働組合の委員長になることが出世コースになっているということは、労働組合と取締役がズブズブで労働組合としての役割を果たしていない可能性が高い、ということ。これでは社員が搾取されてしまいますね。

この点は就職・転職する前に是非チェックしたいですね~