脱力系ぷかぷかドイツ日記

脱力系ぷかぷかドイツ雑記帳

ヘッセン州の田舎町でデジカメの開発してます

Q:ドイツ企業にパワハラはあるか? A:あるにはある

先日、日本の取引先の方々にドイツまではるばるお越し頂きミーティングをしたのですが、その時にひとつ気になったことがあります。

 

というのも部長、課長レベルのマネージャーが自分の部下に話しかける時の口調がとってもマイルドで優しいんですね(笑) 部下からパワハラで訴えられたくないという気持ちがひしひしと伝わってきて、思わず笑ってしまいそうでした。

「~さん、~をしてもらうことってお願いできたりします??」

「こんなことお願いしちゃって大変申しわけないんですけど~、、、」

みたいな感じです(笑)

 

まだ若い会社なら珍しくはないでしょうけど、日本の歴史ある大手電機メーカーですよ!? 昔は上司が怒鳴り散らすのは当たり前、時には灰皿が飛んでくる、みたいな感じだったはずなのに。日本も変わって来てるんだな~、と思いましたね。

 

でももちろんパワハラが減るのはいいことですね!やっぱりこうやって大手から変わっていかなくちゃ。

 

ではドイツ企業ではどうなのか?今日のテーマはパワハラです。

 

目次

 

Q:ドイツ企業にパワハラはあるか? A:あるにはある

一般的に言って、欧州企業ではパワハラはとても少ないです。理由は様々なことが考えられますが、そもそも部下も上司も関係なくファーストネームで呼び合う文化なので上下関係をそれほど意識していないことが挙げられます。また労働環境に不満があれば、すぐにストライキに発展するのも大きいでしょう。

 

でも、パワハラが全くないわけではないです。僕は今のドイツ企業に勤めて約5年になりますが、その間パワハラの話を2回だけ聞きました。以下にご紹介します。

 

パワハラエピソード1

入社当時僕の上司だったドイツ人Aの話。Aはある時を境に週に1、2回しかオフィスに出勤してこなくなりました。同僚が言うには、Aは週に何度か大学で非常勤講師として講座を持つことになり学生相手に授業をしているので、授業がある日はリモートワークをしているらしい、とのことでした。Aは自ら会社に交渉してリモートワークの許可をもらったようでした。※コロナ前のリモートワークがまだ一般的ではなかった頃の話です

 

僕はへえ~と思っただけで、何も不思議に思いませんでした。

しかし後日Aと二人で雑談をしているとき、Aはこう言いました。

「実は出社を減らしているのは、Bと顔を合わせたくないからなんだ。表向きには大学の講座のため、ということにしているけど」

 

BはAの上司のドイツ人です。当時Bは、技術のエキスパートであるAを自分の右腕のように利用し、事あるごとに呼び出しては技術の詳細の説明を要求していたそうです。そのためにAは一日中Bに拘束されるような形になり大きなストレスを抱えるようになったため、出社を避けていたのです。

 

当時AはBを訴えて表立って対決するよりは、何か別の口実をつくって出社を避けた方が良いと判断したのでしょう。大学に講座を持っているのは本当だったので、それを利用してうまく危機から逃れたのです。賢いですね。

 

パワハラエピソード2

ある重要プロジェクトのリーダーを務めていたドイツ人Cの話。Cはプロジェクトが佳境を迎えた頃、突然出社してこなくなりました。最初は休暇かと思っていましたが、何ヶ月経っても戻ってこないため、同僚に聞いて見たところ誰も確かな事情を知らない。会社からはプロジェクトリーダーが別の人に変わったことだけが小さく伝えられました。

 

その後、どこからともなく風の噂でCが体調を崩している、ということを知りました。そしてそれは、製造部のマネージャーを務めるドイツ人Dにパワハラを受けていたことが原因なんじゃないか?とのことでした。

 

Cがリーダーを務めていたプロジェクトは技術的難易度の高い商品で、試作の度に問題が見つかり何度も設計変更を繰り返していました。そのことに業を煮やしたDは、ミーティング中にCを何度も”公開処刑”したそうです。

 

僕はDと一緒に仕事をしたことがないのですが、もともとDのパワハラ気質は社内でも有名だったらしいです。容赦なく人格を否定する言葉を部下に投げつける恐怖政治タイプのマネージャーです。(とある同僚はDを"他人へのリスペクトを欠いた人物"と言っていました。) ドイツ人でもいるんですね、こういう人。Dは以前、とある中国系TEC企業でマネージャーを務めていたらしく、そのバックグラウンドも彼の振る舞いに影響を与えているのかもしれません。

 

その後Dは(どのような経緯があったのかは知りませんが)別の会社に転職し、Cはプロジェクトリーダーとして復帰して元気に働いています。

 

パワハラから身を守るために

このようにドイツ企業と言えども、決して平和なユートピアなんかではありません。パワハラとまでは行かずとも、性格や考え方が合わず互いに嫌い合っている同僚等はいくらでもいます。そりゃー皆厳しいビジネスの現場でサバイバルしているのですから、人間関係のもつれは避けがたく起こりますよね。

 

ところで僕自身はパワハラを受けたことがあるか?

幸いなことに今のところありません。とても快適に働いています。

※パワハラをしたことももちろんありません

 

外資系企業で働く上でパワハラから身を守るために重要だと思うのは以下の3点。

 

社内のレア人材になる

僕の場合ラッキーなのは、日系の取引先に対する窓口として日本語を使うポジションで働けていることです。社内に日本語を話せるのは僕しかいませんから、僕がいなくなると会社としては困るわけです。当然ですがこのようなレア人材にパワハラをする人はいませんよね。

上記は僕の例にすぎませんが、何らかの特殊技能を持つことでレア人材になるという発想はパワハラから自分の身を守るうえでとても有効です。

 

インターナショナルな職場で働く

うちの会社のスタッフは非常に多国籍なのですが、この点も働きやすさにつながっています。外見も文化も皆バラバラなので些細な違いが気になりません。

 

これから外資系企業に就職される方は、なるべくインターナショナルな大手企業に入った方がいじめやパワハラの標的になりにくいのではないでしょうか。

 

転職する

最終手段は転職です。変な上司に当たったら迷わずソッコーで転職しましょう。

海外の人材市場では多くの場合、転職回数が多いことはマイナスの評価になりませんのでガンガン転職できます。逆に経験豊富な人材として評価されることもあります。