脱力系ぷかぷかドイツ日記

脱力系ぷかぷかドイツ雑記帳

ヘッセン州の田舎町でデジカメの開発してます

本)ハンチバック_市川 沙央_2023

 

 

人工呼吸器、電動車椅子を常用する著者が自身の経験を基に書いた小説。第169回芥川賞受賞作。

 

健常者優位主義に対する怒りをぶちまけたような内容でかなり内容は過激ですが、共感できる所は大いにありました。

日本では社会に障害者はいないことになっている、というこの一節は本当にその通りだなと思いましたね。そしておそらくここでの”障害者”とは一つのメタファーに過ぎない。この著者が本当に怒っているのは、もっと広い意味での「社会における弱者と強者を分ける固定観念」についてだと思います。

 

紙の本を自分の体で支えられない著者は、受賞式で読書バリアフリーの普及を強く訴えたそうですね。電子書籍や朗読ソフトが普及すれば身体障害者や視覚障害者ももっと自由に読書を楽しめますから。

お恥ずかしながら僕は"読書バリアフリー"という言葉があること自体初めて知りました。。きっとこのような無知がおかしな社会を作っているのでしょう。

 

それにしても著者の文章技術はすさまじいですね。ハプバーの描写とか風俗嬢のすれてる感じとか、すごく書き方が上手いです。重苦しい内容の本ですが、ちょっとニヤニヤしながら楽しんで読めました。

アムステルダムから程近い風車村「ザーンセ・スカンス」

今回はオランダ旅のおまけ。

 

アムステルダム滞在中、「ザーンセ・スカンス」という風車村に日帰りで行ってきました。実はこの風車村の存在に気付いていなかった僕ですが、アムステルダムで初日に行った「ZEN Massage」のスタッフの方に教えて頂き急遽旅程に組み込みました(ZEN Massageさん、改めてありがとうございました。)

 

実にオランダらしい風景が広がるとても気持ちの良い場所でした。アムステルダムからもアクセスが良く日帰り可能なのでおすすめです。(僕はアムステルダムのホテルからタクシーで行きました。20分くらいでした。)

 

風車の中に入ることもできます

 

 

もともと低地に位置するオランダでは水管理や排水のために風車が使われていました。その後、穀物の粉砕、木の切断、油の圧搾等様々な工業用途にも使われるようになり、19世紀後半のピーク時には1万基以上の風車がオランダ国内で稼働していたらしいです。

戦後になると電気やガソリンといった動力が普及したため多くの風車が廃止されました。そんな中文化の保存のため1946年に風車村を作るという計画が持ち上がり、各地から風車が集められ現在のザーンセ・スカンスの姿となりました。

参考: 【オランダ】風車の歴史を学ぼう +DUTCH BLOG

公式サイト: Discover crafts, windmills and museums at the Zaanse Schans

 

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アムステルダムうろついてきた エロ編

2023年8月13日~8月17日 オランダ アムステルダム滞在の記録

 

前回に続き、今回はアムステルダム旅行エロ編。

どちらかというと今回の方が旅のメインです(笑)

 

目次

※全て徒歩圏内にあります

 

飾り窓

オランダではドラッグ、売春、安楽死、同性愛結婚が全て合法です。人間の欲望を開放することによって、逆に大きな犯罪を防ぐという考えに基づいているらしいです。

そんなオランダの自由を象徴するのが、アムステルダムの飾り窓地区です。

赤く光る部屋の中から女性が誘惑してきます。カーテンが閉まっている部屋は客が入っていて使用中。

 

今は観光地として認知されているため通行人の多くは観光客ですが、それでも普通に部屋をノックして中に入っていく男性を何人か目にしました。周りの視線は全くお構いなし。

 

こんな風俗が町のど真ん中にあるんだからアムステルダムはすごい!

 

勝手に動画をYouTubeから拝借↓ これを見れば雰囲気分かるかも。


www.youtube.com

 

Red Light Secrets (売春博物館)

セックスワーカーの生活や働き方に焦点を当てた博物館。

公式サイト: Museum of Prostitution Amsterdam | Red Light Secrets

セックスワーカーは個人事業主としてこのような部屋を自分で契約して商売をしているらしい。きちんとした職業であると認められており、失業保険も出る。

 

かなり忠実に仕事場を再現していて生々しかった

 

Casa Rosso(セックスショー)

こちらのCasa Rossoではセックスショーが見れます。

公式サイト: Casa Rosso Amsterdam: live erotic shows in Red Light District

他人のセックスを生で観たのは人生で初めてでした(笑)

しかもただのセックスではなく、かなりアクロバティックなアクションを入れてきます。音楽に合わせて腰を振りながら体操のあん馬のように足を動かしたり。

そして最初はしっとりとした雰囲気だった音楽が徐々に盛り上がってくると、それに合わせて男優が腰を振るペースも目にも止まらぬ速さに。しかも男優のアソコがAVでも見たことないくらいでかくて(笑)、女性の体は大丈夫なんだろうか??

 

普通のセックスショーだけでなくSMやポールダンス等色んな種類のショーがあり、各ショー15分位で順番に進行していくような形でした。

 

一番ウケたのが、その場で無作為に選ばれた観客が何人かステージに上がって女性ダンサーと一緒に踊るというショー。そこでラリったおっさんがいきなり上裸になってステージ上で躍り狂ったためにダンサーが一時的に舞台袖に避難するというハプニングが起きました(笑) 会場大爆笑。奇跡の瞬間を見ることができました(笑)

 

Casa Rossoからすぐ近くにあるこちらのお店「SEX PALACE」。ピープショーというのは、女性の裸をPeep(覗き見)できるというカテゴリーの遊びらしい(笑) 今回は行けなかったけど面白そうですね。

CONDOMERIE(コンドーム専門店)

世界初のコンドーム専門店、らしいです

公式サイト: Condomerie. Voor al uw condooms en glijmiddelen.

いろんなコンドームがあるなあ!”これらの商品は避妊具としての機能を100パーセント保証するものではありません”とちゃんと注意書きしてありました(笑) 確かに「ピカチュウのコンドーム使ったら子供できちゃったじゃないか!」ってクレームされても困るわな(笑)

 

セックスミュージアム

古今東西の”性”に関するありとあらゆるものが展示されている博物館。

公式サイト: Sexmuseum Amsterdam – Ontdek de Venustempel van Amsterdam

俺としたことが若干手ブレしてしまってるじゃないか。Casa Rossoの男優のちんぽがでかすぎて、トラウマになってるのかもしれない。

 

なんだこれは?w

 

セックスミュージアムには他にも絵や写真がたくさん展示されていましたが、内容が過激すぎるのでブログに貼るのはやめときます(笑)

 

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アムステルダムうろついてきた

2023年8月13日~8月17日 オランダ アムステルダム滞在の記録

 

やっと夏休みが来た!仕事きつい!(笑)

今年はオランダの首都アムステルダムへ。天気も良くてそれでいて暑すぎず最高でした。

 

目次

 

アムステルダム、旅行しやすかった

その理由は以下の通り。

 

・街中どこでも英語が通じる

・クレジットカードかデビットカードをスキャンするだけで、全ての公共交通機関(電車、バス、トラム)に乗れるので切符を買う必要が無い(2023年1月からこのシステムが導入されたらしい)

・Uberでタクシーを呼べる

・コスモポリタンな雰囲気があり、どこの国の料理でも食べられるので食事に困ることはまずない

 

アムステルダム、旅行慣れしていない人にもおすすめできます。ただ一点ホテルが高いのが難点ですが。。。

 

アムステルダムの街並み

アムステルダムは何本もの運河が流れるその様から”北のヴェニス”の異名を持つ(愛読書「地球の歩き方」より)

 

アムステルダム中央駅

 

ダム広場

 

ダム広場の王宮

 

国立美術館

 

オランダと言えば自転車大国。アムステルダムでもたくさんの自転車が猛スピードで走っているので、周りを良く見て歩かないと結構危ないです。特にタクシーから降りるとき注意。

 

旧教会

 

Moco美術館

Moco(Modern Contemporary Museum Amsterdam)美術館は2016年にオープンした比較的新しい現代アート美術館です。ここ個人的にめっちゃおすすめ。

公式サイト: The world of Moco

そんなに大きい美術館ではないので2時間もあれば十分です

 

正体不明のアーティスト「バンクシー」。フロア半分を使って、たくさんのバンクシー作品が展示されていました。

 

バンクシー作品は、うっと胸に突き刺さる哀しさがありますね

 

草間彌生

 

村上隆

 

ヨーロッパの現代美術館に行くと、決まって草間彌生と村上隆が展示されていてこの二人が日本代表みたいに扱われているんだけど、それでいいのか?

しかも説明書きに「村上隆が日本に与えた影響は、アンディ・ウォーホルがアメリカに与えた影響に等しい」とか書いてあったけど本当かよ?(笑)

日本にももっと才能のあるアーティストが実はまだまだたくさんいて、ただ世界に打って出る道筋が無いだけではなかろうか?

 

セクシーロボットで知られるイラストレーター「空山基」の作品もありました。これ間近で見ると結構すごいです。

 

ちなみにMoco美術館のすぐ近くにゴッホ美術館があるのですが、こちらは予約が一杯で入れなかったです(泣) ものすごい人気で、いつでも数週間先まで予約が埋まっているのだとか。

聞くところによると、アムステルダムでは「ゴッホ美術館」と「アンネ・フランクの家」の二つだけはいつも予約が一杯だそうで、いきなり行っても入れないそうです。アムステルダムに行かれる予定の方は気を付けてください。

 

コンセルトヘボウ

音響の良さに定評のあるコンサートホール「コンセルトヘボウ」。1888年にできた歴史ある建物です。こちらでオーケストラの演奏を聴いてきました。

公式サイト: One of the most famous concert halls - The Concertgebouw

今回聴いたのはシューマンとメンデルスゾーンの曲目の演奏でした↓

Renaud Capuçon plays Schumann's Violin Concerto - The Concertgebouw

素晴らしかったです(が前に観たベルリン・フィルハーモニーのマーラーの感動を超えることはなかった。。)

 

今回ドレスコードはなかったですが、一応スーツ&革靴で行きました。周りを見ても(特に年齢層が上がるにつれて)正装している人が多い印象でした。カジュアルな格好の人も少数ながらいましたが、結構浮いてましたね。以前ベルリン・フィルハーモニーにジーパン&スニーカーで入っていった僕ですが(笑)、やはりそれはできるだけ避けた方がいいでしょう。

 

ハイネケン・エクスペリエンス

オランダのビールと言えばハイネケンですよね。「ハイネケン・エクスペリエンス」はハイネケン発祥の地に建てられた体験型アトラクション。建物は1988年まで実際に工場として使われていたらしいです。

公式サイト: Bitte sage uns, wann du geboren bist.

建物の中は意外にもかなりハイテクで、ものすごい映像・音響技術をもってビール製造の世界を楽しませてくれました。出口付近のバーで実際にハイネケンビールを飲めます(2杯まではチケット代に含まれてます)

 

おまけ ZEN Massage

今回アムステルダムに着いてからまず向かったのは、指圧マッサージ。やる気がない(笑)

行ったのはTwitterでおすすめされていた日本人経営のお店「ZEN Massage」。

公式サイト: Shiatsu | Zen Massage | Amsterdam

 

まさに求めていたマッサージをしてくれました。また現地に住んでいる方ならではの観光情報も親切に色々と教えて頂きました。

 

ZEN Massageさん、どうもありがとう!

これからアムステルダムに行かれる方、観光に疲れたら是非立ち寄ってみてください。

 

外資系勤めあるある ダメ社員っぽく見える奴が実はすごかったりする

もうタイトルの通りで、「この人は優秀そうだ」とか「この人はダメそうだ」とか、ぱっと見で判断するのは外資系企業では絶対NGです!ダメ社員っぽく見える奴が実は優秀だったりします。その逆ももちろんあります。日系で働いてきた人が外資系に転職すると、ここで戸惑う人が多いと思いますね。

 

例を挙げればきりがないですが、例えば今の会社でカメラのオートフォーカス設計をしているドイツ人エンジニアは、ぱっと見ダメな奴に見えるんです(笑) いつも窓際の席で暗~い雰囲気を出しながらごそごそと作業していて、言っちゃ悪いけど存在感・覇気が全くない(笑) しかも、いつも誰よりも早く15時ぐらいには帰っていく(笑)

 

さらにミーティングに出ても何も言わない。コメントを求められてやっとぼそっと何かつぶやく、って感じ。オートフォーカスってかなり重要な機能なんですが「担当コイツで大丈夫なのか?」って正直思ってました。※すいません、僕より年上です

 

しかし、先日のミーティングで彼は突然ホワイトボードの前に立ち、彼が考えているアイデアを説明し始めました。それがとてつもなく素晴らしかった。。。そのアイデアを実現できればチームが抱える問題が解決される革新的なものでした。僕の中の彼に対する印象が一瞬で変わりました。

 

こういう経験は実は初めてではありません。以前、電気基板設計で深刻な問題が起きた時、それを解決したのも普段はあまり目立たないエンジニアでした。ドイツ人ですが、英語が苦手らしくあまり話に入ってこない人です(笑)

 

でも電気設計者としてはものすごく優秀なんです。彼はアナログ回路理論の深い知識と理解に基づいて数々の実験を行い、数ヶ月かけてほぼ一人で問題を解決しました。それ以来僕の中で彼は”隠れファンタジスタ”的な存在です。面と向かってそう伝えたことはないですが(笑)

 

日本で働いていた頃を思い出すと、「優秀な人はコミュニケーション能力が高い」という幻想があったように思います。もしくは会議等で良く発言する人だったり、たくさん残業している人が仕事を頑張っているとされていたような。

 

この感覚をまずは捨て去ること、外資で働くなら。

 

オートフォーカス設計の彼にしても、家に帰ってから仕事や勉強をしているのかもしれないし、そこは分からないですよね。

結局、(特にエンジニアの)仕事ってのは成果で評価するしかないんです。当たり前ですけどね。会社もその事を良くわかっている。だからこそ重要ポジションに彼らを配置しているのです。

 

くだらない奴らが百回軽口を叩いている間、”静かな彼ら”はじっと口を閉じていて、ぼそっと一回だけ重要な事を言う。人間の生き方としても、そっちの方がずっと気高く美しいと思いませんか?

 

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映画)search/サーチ_監督 アニーシュ・チャガンティ_2018

 

search/サーチ

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以前紹介記事を書いた『RUN/ラン』が超面白かったので、アニーシュ・チャガンティ監督のデビュー作である『search/サーチ』も観てみました。

 

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『search/サーチ』は2018年アメリカ発のスリラー映画。これがヒットしたことによりアニーシュ・チャガンティ監督の名は"スリラーの新鋭"として一気に世界的に認知されたようです。

 

『search/サーチ』は、突如失踪した高校生の娘の行方を追って父親がSNSを駆使して手がかりを探る話。全編パソコン画面上の映像のみでストーリーが進むのが特徴で、魅せ方が非常に上手いです。

 

あと、この時代に対する風刺が込められている感じが良かったです

SNSで娘がつながっていた同級生に連絡を取っても、誰一人として娘の事を深くは知らない。一見すると学校でもSNS上でも上手くやっているように見える娘。しかし友達なんて実は一人もいなかったんじゃないのか。。? 

父親は次第に娘が抱えていた心の闇に足を踏み入れていくことになります。この辺り現代人なら誰しもが心揺さぶられるのではないでしょうか。

 

ちなみに続編の『search/#サーチ2』がすでに公開されており、前作の『search/サーチ』とは特につながりのない全く新しいストーリーのようですね。

 

※余談ですがGoogleの検索ボックスに直接画像をドラッグ&ドロップするとGoogleレンズが起動して即座に画像検索ができるって知ってますか?映画の中で父親がこの方法で重要な手がかりをつかむシーンがあって、「このオヤジやるな!」とか思ってました(笑) これ世の中では常識なの?僕が遅れてるだけ?

 

まぁ、この父親はカリフォルニアのベイエリアでIT企業に勤めている設定だったし、この位は普通にやるよってことなんでしょうけれども(笑)

Q:ドイツ企業にパワハラはあるか? A:あるにはある

先日、日本の取引先の方々にドイツまではるばるお越し頂きミーティングをしたのですが、その時にひとつ気になったことがあります。

 

というのも部長、課長レベルのマネージャーが自分の部下に話しかける時の口調がとってもマイルドで優しいんですね(笑) 部下からパワハラで訴えられたくないという気持ちがひしひしと伝わってきて、思わず笑ってしまいそうでした。

「~さん、~をしてもらうことってお願いできたりします??」

「こんなことお願いしちゃって大変申しわけないんですけど~、、、」

みたいな感じです(笑)

 

まだ若い会社なら珍しくはないでしょうけど、日本の歴史ある大手電機メーカーですよ!? 昔は上司が怒鳴り散らすのは当たり前、時には灰皿が飛んでくる、みたいな感じだったはずなのに。日本も変わって来てるんだな~、と思いましたね。

 

でももちろんパワハラが減るのはいいことですね!やっぱりこうやって大手から変わっていかなくちゃ。

 

ではドイツ企業ではどうなのか?今日のテーマはパワハラです。

 

目次

 

Q:ドイツ企業にパワハラはあるか? A:あるにはある

一般的に言って、欧州企業ではパワハラはとても少ないです。理由は様々なことが考えられますが、そもそも部下も上司も関係なくファーストネームで呼び合う文化なので上下関係をそれほど意識していないことが挙げられます。また労働環境に不満があれば、すぐにストライキに発展するのも大きいでしょう。

 

でも、パワハラが全くないわけではないです。僕は今のドイツ企業に勤めて約5年になりますが、その間パワハラの話を2回だけ聞きました。以下にご紹介します。

 

パワハラエピソード1

入社当時僕の上司だったドイツ人Aの話。Aはある時を境に週に1、2回しかオフィスに出勤してこなくなりました。同僚が言うには、Aは週に何度か大学で非常勤講師として講座を持つことになり学生相手に授業をしているので、授業がある日はリモートワークをしているらしい、とのことでした。Aは自ら会社に交渉してリモートワークの許可をもらったようでした。※コロナ前のリモートワークがまだ一般的ではなかった頃の話です

 

僕はへえ~と思っただけで、何も不思議に思いませんでした。

しかし後日Aと二人で雑談をしているとき、Aはこう言いました。

「実は出社を減らしているのは、Bと顔を合わせたくないからなんだ。表向きには大学の講座のため、ということにしているけど」

 

BはAの上司のドイツ人です。当時Bは、技術のエキスパートであるAを自分の右腕のように利用し、事あるごとに呼び出しては技術の詳細の説明を要求していたそうです。そのためにAは一日中Bに拘束されるような形になり大きなストレスを抱えるようになったため、出社を避けていたのです。

 

当時AはBを訴えて表立って対決するよりは、何か別の口実をつくって出社を避けた方が良いと判断したのでしょう。大学に講座を持っているのは本当だったので、それを利用してうまく危機から逃れたのです。賢いですね。

 

パワハラエピソード2

ある重要プロジェクトのリーダーを務めていたドイツ人Cの話。Cはプロジェクトが佳境を迎えた頃、突然出社してこなくなりました。最初は休暇かと思っていましたが、何ヶ月経っても戻ってこないため、同僚に聞いて見たところ誰も確かな事情を知らない。会社からはプロジェクトリーダーが別の人に変わったことだけが小さく伝えられました。

 

その後、どこからともなく風の噂でCが体調を崩している、ということを知りました。そしてそれは、製造部のマネージャーを務めるドイツ人Dにパワハラを受けていたことが原因なんじゃないか?とのことでした。

 

Cがリーダーを務めていたプロジェクトは技術的難易度の高い商品で、試作の度に問題が見つかり何度も設計変更を繰り返していました。そのことに業を煮やしたDは、ミーティング中にCを何度も”公開処刑”したそうです。

 

僕はDと一緒に仕事をしたことがないのですが、もともとDのパワハラ気質は社内でも有名だったらしいです。容赦なく人格を否定する言葉を部下に投げつける恐怖政治タイプのマネージャーです。(とある同僚はDを"他人へのリスペクトを欠いた人物"と言っていました。) ドイツ人でもいるんですね、こういう人。Dは以前、とある中国系TEC企業でマネージャーを務めていたらしく、そのバックグラウンドも彼の振る舞いに影響を与えているのかもしれません。

 

その後Dは(どのような経緯があったのかは知りませんが)別の会社に転職し、Cはプロジェクトリーダーとして復帰して元気に働いています。

 

パワハラから身を守るために

このようにドイツ企業と言えども、決して平和なユートピアなんかではありません。パワハラとまでは行かずとも、性格や考え方が合わず互いに嫌い合っている同僚等はいくらでもいます。そりゃー皆厳しいビジネスの現場でサバイバルしているのですから、人間関係のもつれは避けがたく起こりますよね。

 

ところで僕自身はパワハラを受けたことがあるか?

幸いなことに今のところありません。とても快適に働いています。

※パワハラをしたことももちろんありません

 

外資系企業で働く上でパワハラから身を守るために重要だと思うのは以下の3点。

 

社内のレア人材になる

僕の場合ラッキーなのは、日系の取引先に対する窓口として日本語を使うポジションで働けていることです。社内に日本語を話せるのは僕しかいませんから、僕がいなくなると会社としては困るわけです。当然ですがこのようなレア人材にパワハラをする人はいませんよね。

上記は僕の例にすぎませんが、何らかの特殊技能を持つことでレア人材になるという発想はパワハラから自分の身を守るうえでとても有効です。

 

インターナショナルな職場で働く

うちの会社のスタッフは非常に多国籍なのですが、この点も働きやすさにつながっています。外見も文化も皆バラバラなので些細な違いが気になりません。

 

これから外資系企業に就職される方は、なるべくインターナショナルな大手企業に入った方がいじめやパワハラの標的になりにくいのではないでしょうか。

 

転職する

最終手段は転職です。変な上司に当たったら迷わずソッコーで転職しましょう。

海外の人材市場では多くの場合、転職回数が多いことはマイナスの評価になりませんのでガンガン転職できます。逆に経験豊富な人材として評価されることもあります。