脱力系ぷかぷかドイツ日記

脱力系ぷかぷかドイツ日記

2018年8月にドイツ企業に就職・移住したカメラ好きエンジニアのぷかぷか日記です。

本)いちばん親切な西洋美術史__池上英洋__2016

いちばん親切な 西洋美術史

いちばん親切な 西洋美術史

  • 作者:池上英洋
  • 発売日: 2016/07/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 一冊で古代から現代まで西洋美術史を概観できる本。読みやすいので入門用におすすめ。絵がたくさん載っているので、ただ眺めているだけで楽しい。

 どの時代も面白いけど個人的には19世紀後半から現代に至るまでが特に面白かった。まず印象派(モネ等)が登場し、後期印象派(ゴッホ等)、キュビスム(ピカソ等)、象徴主義(ムンク等)、ダダイスム(デュシャン等)など様々な様式が生まれ、さらにシュルレアリスム(キリコ等)みたいなところまで到達する辺り。

 産業革命や世界対戦等が起きた激動の時代に、人間が尊厳を守るために芸術を武器に闘ってきたことが良く分かるそもそも印象派も、当時の美術界を牛耳っていたアカデミスムに反発したアウトローな画家達が立ち上げたものだ。

 偉大な芸術家達の人となりに触れられたのも良かった。ゴッホはゴーガンとの対立で精神的に追い詰められ自分で耳を切り落とした。キュビスムとフォーヴィスムの先駆けとなったセザンヌはずっと世に認められず極貧で、50代に入る頃まで実家から仕送りをもらっていた。20世紀彫刻への道筋を作ったロダンは、美術学校の入試に3回連続で落ち、受験資格すら失ったような人物だった。モネは白内障を患っても、絵を描いた。

 皆ほとんど狂っているといっても過言ではない。芸術に対する自分の信念を貫くために、言葉通り命を懸けている。

 面白かったのが、シュルレアリスム(超現実主義)の実験としてフランスの詩人ブルトンによって提唱された自動記述(オートマティスム)の話。これは構想することなくいきなり文章を書き始めるという発想で、ブルトンは半分眠りながら文章を書いたり、内容を無視して異常に高速で書いたりと、いろいろ実験をしたらしい。そうすることで普段の倫理観に縛られることなく無意識下にあるものを引き出すことができるそうだ。この人も狂ってるね(笑)

映画)望み__堤幸彦__2020

nozomi-movie.jp

 ベストセラーのミステリー小説が原作とのこと。家を出たきり帰ってこない高校生の息子が事件に巻き込まれたことを知り、狼狽する家族の話。感動した~

 ショッキングな結末でつらい話だけれど、家族を想う気持ちがリアルで共感した。人って死んでからも、生前の身の回りの世界に影響を与え続けながら、一緒に生きていくのだなと思った。言葉にすると当たり前だろって感じだけど、その事の凄まじさってやっぱり芸術でしか伝えられない。

 たまに映る街並みの映像も良い。

フランクフルト散歩してきた

 日本人美容師に髪を切ってもらうため、久しぶりにフランクフルトに行って来ました。いつもは早めに着いて日本食レストランで食事をしたり、カフェで本を読んだりしているのですが、ロックダウンのせいでどこも開いていない。。 という訳で暇潰しにぶらぶらと散歩をしながら撮った写真をアップします。

 金融と商業の中心地として知られるフランクフルトには高層ビルが立ち並び、中には結構凝ったデザインの建物もあったりする(ということに気付きました。)

中央駅

中央駅

有名なユーロマーク

有名なユーロマーク

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欧州中央銀行とのこと

欧州中央銀行とのこと

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ハンマーマン

ハンマーマン

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本)破局__遠野遥__2020

破局

破局

  • 作者:遠野遥
  • 発売日: 2020/07/04
  • メディア: Kindle版
 

 芥川賞受賞作ということで読んでみましたが端的に言って、良いです。新しい。内容はほとんどが性的な欲望についてで(笑)、一体何が書きたいんだよって思いながらも、簡潔な文体の中にずっと漂っている何かが起こりそうな不気味な気配に、引き込まれるようにして読みました。

 主人公はスポーツも就職活動もしっかりとこなすきちんとした大学生で、一見合理的に生きているように見えるけれど、内に秘めた危うさもあって、その描写に現代の空気感が良く出ていると思いました。絶望しているんだけど、その本人が絶望していることに気が付いていない、みたいな感じでしょうか。

旅行したいなー

 コロナ第3波到来でドイツは今また1日1万人以上の新規感染者が出ている状況です。そのためロックダウンもまたもや3週間延長となりました。本当に長い。。去年の9月から髪切ってないので野人のようになってきましたが、なんとか生きています。
 
 最近は暇潰しに『いちばん親切な西洋美術史(新星出版社)』という本を読んでいます。どこにも行けないなら、頭の中だけでも美術館に行こうという訳です(笑) カラーで絵画の画像がたくさん載っていて、それを穴があくほどに見つめているので、1日に2ページしか進みません(笑) 絵の説明を読むことより、絵を観て何かを感じることを大事にしています(何かを感じるまで次の絵に進まない)。絵を観ている時間は普段仕事で使っている脳の裏側が刺激される気がするので、結構いい習慣かもしれないとか思ってます。
 美術の何が好きかっていうと、制作に時間がかかるところですね。例えばヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の壁に描かれたミケランジェロの『最後の審判』は6年かかったらしい。

ミケランジェロ『最後の審判』 | 名画の見られる日本の美術館

 ヴァチカンでこの実物を見たときの衝撃が、自分の価値観に少なからず影響していると思ってます。今は若い頃に比べて、(5年、10年位の)長いスパンで物事を追求することに強く惹かれるんです。歳をとったせいか、自分の時間がたくさんあるからなのか、よく分からないですが。宗教的意義や社会批評性を持たない静物画や風景画を観るのも好きになりました。そこに投入された熱量と時間に興味が湧くんです。
 
 それから友達の薦めで、最近はYouTubeに上がっていた『深夜特急』のドラマを見ていました。沢木耕太郎の原作は読んだことなかったですが、面白かったです。コロナが明けたら早く旅をしたい!
 深夜特急は沢木耕太郎が26歳の時に仕事を投げ出して旅に出た実体験をもとにしているらしいです。単なる思いつきの旅の割には、インドのデリーからイギリスのロンドンまでバスで行くというクレイジーっぷり。なんの意味もないことがしたかった、という主人公の思いに共感しました。個人的には香港、インドあたりの映像が好きかなー。昔フィリピンのセブ島で蚊に刺されまくって、熱を出した時の恐怖を思い出しました(笑) あと宿で日本にいる恋人に手紙を書いているシーンなんかもグッときますね!

映画)タクシー運転手 約束は海を越えて__チャン・フン__2017

klockworx-asia.com

 1980年に起きた光州事件時の実話を基にした韓国映画。民主化を求めてデモをする学生や市民と、それを鎮圧しようとする軍隊との武装闘争を描いたかなり衝撃的な内容です。共に闘う人々の絆が熱い。

それにしても、近年の韓国映画は面白いですね。。
『パラサイト 半地下の家族』『殺人の追憶』『グエムル 漢江の怪物』そして本作と立て続けに観て、ソン・ガンホの演技に徐々に引き込まれつつある俺です。別に演技が格別に上手いわけではないと思うけれど、何故かいつも猛烈に感情移入してしまう。。

映画)希望のかなた__アキ・カウリスマキ__2017

 難民問題を扱ったフィンランド映画。タイトルの通り観ていて気持ちのいい映画でした。
 故郷シリアの内戦から逃れた主人公の青年は偶然にもヘルシンキに辿り着く。そこでも差別や暴力を受けるが、同じように孤独を抱えた人々に助けられる。
 
 僕は難民ではないけれど、昨今特にコロナの影響で世界中が移民に対してどんどん不寛容になっていくのを感じているので、他人事じゃないよなぁと思いながら観ました。たとえ移動制限が解かれても、すぐにヨーロッパを旅行するのは若干怖かったりするし。
 アキ・カウリスマキの映画は無駄な飾りがないところが良いですね。登場人物も必要最小限しかしゃべらないし、カメラも動かない。過去の作品だと『街のあかり』が個人的に好きです。