ドイツに来て今月でちょうど3年です。来る前は旅行をする事を楽しみにしていましたが、コロナのせいでほとんどどこにも行けなかったのは残念です。(そもそもこのブログは旅行を記録するのが目的じゃなかったっけ。。) でも再来週2回目のワクチンを打つので、ここからまた新たな展開が始まるのではと期待しています。
ところで会社の仕事はこれまで基本的にリモートワークでしたが、今月から”月に10日(つまり勤務日の半分)はオフィスに来なければならない”という方針が所属部署の方から打ち出されました。まだデルタ株の広がりは収まっていないので、個人的にはなかなか大胆な決断だなと思ってます。
しかし案の定、会社の方針に逆らって出社拒否をしている社員もいます。”ワクチン打ちたくない派”の人達です。その中には技術マネージャー(エンジニアの事実上のトップ)の方もいます。先日その方とビデオミーティングで話した時に感じた印象ですが、単に感情的にワクチン接種に反発しているというわけではなさそうでした。mRNAワクチンについて文献を読んでリサーチをした上で「今打つのはリスクがある」と判断したようです。
こういうのがいかにもドイツ人(広くヨーロッパ人)らしいな、と思います。つまり自分で勉強して個人で判断する。たとえ組織や多数派と対立してでも。先の技術顧問の方はその傾向が特に強く、社食で皆が食べている物でさえ、産地が不明な場合等安全性を信用できなければ食べません。
これに関連して、僕がドイツに来て間もない頃すごく印象的だったことがあります。会社でのランチの時、向かいの席に座っていた僕と同世代の同僚のドイツ人女性に、今度車を買うのだと言ってみたところ、彼女は車をどのように選ぶべきかについてひとしきりの意見を言いました。それを聞いてすごく感心した覚えがあります。エンジンやトランスミッション等の基本的な車の仕組みをきちんと理解した上で、自身の車を選び(確かホンダでした)、乗っているようだったからです。ちなみに彼女はエンジニアですが畑違いなので、車に関しては単なる一般利用者に過ぎません。
つまり、ドイツでは自分の生活に関係してくる身の回りの物事について学ぶのはほとんど当たり前のことなんです。日本人的感覚だとランチの時に車のエンジンについて解説するような奴は”オタク”ですよね。でも考えてみれば、仕組みを知らずに車に乗るなんて危険でおかしなことです。
(一方日本に住む僕の母親は、この前僕に「CPUって何?」という質問をしました。こういう人はドイツ人的に言えば典型的に常識のない人です(笑) スマホやパソコンを使っているのではなく、自分が使われている)
僕は常日頃ドイツのこのような文化を素晴らしいと思っています。何も皆が専門家のように持論を展開するわけではありません。でも基本的な概要を抑え、その上で自分がどのように物事と関わっていくかを決めています。テクノロジーのことだけではなく、政治や環境問題に対してもそうです。逆に言えば多数派と同じ振る舞いをする事が"常識的である"ということにはなりません。
(今の日本には、mRNAワクチンに対する個人的見解を基に断固として出社拒否を貫き通す気合いの入った重役はいるのか!?いないならその画一性こそが問題だ)
そして僕も人のことは言えません(この記事は自分への戒めとして書いています)。 身の回りのことを理解するといっても大変なことですよね。焦らず、少しずつでも勉強していくことが大事だと思ってます。僕の場合まずはドイツ語からです。。
今年のドイツの夏は寒いです。。朝晩は長袖着てないと風邪引くレベルです。