脱力系ぷかぷかドイツ日記

脱力系ぷかぷかドイツ雑記帳

ヘッセン州の田舎町でデジカメの開発してます

プロならいちいち上司に報告するな

今週、以前から取引のある日系メーカーの方々がうちの会社の工場を見学するために、はるばるドイツまで来られました。

 
その取引先は、うちの商品(主にカメラやスマホ)の中に入っている超重要な半導体"イメージセンサー"を供給してくれている会社です。CMOSイメージセンサー市場で世界一に君臨する日系メーカー、と言えばカメラが好きな人なら分かるかもしれませんね。
 
取引先の出張メンバーの中には僕みたいな若造には普通会うことのできないレベルの偉い人もいました。50代後半位(?)の実質イメージセンサー開発の総指揮官とも言える方です。グローバルビジネスのトップまで登り詰めるのって一体どんな人間なんだろう??
 
今回二日間の日程でドイツ本社とポルトガルの工場を案内したので、その方とも話す機会が多くありました。最終日ホテルへ戻るタクシーの中ではちょっとあり得ない位打ち解けた感じで、仕事の苦労話や引退までに成し遂げたい夢等、いろいろと話を聞かせてくれました。
 
その方は僕にこう言いました。
 
「プロならいちいち上司に報告するな。隠れてこっそりやれ。」
 
ほう?
 
その方曰く、自分の部下が報告に来る度に内心"コイツ馬鹿なんじゃねーの?"と思っているそうです(笑)
 
というのは、いちいち報告に来る奴ってまず自分に自信がない。そして失敗するリスクを自分で負いたくもない。だから上司に報告することで責任を負わせようとする、ということらしいです。
 
でも上司も忙しいですから、部下の仕事の詳細まで把握する事なんてできない。なので、仕事というのはそもそも各人が自分で責任とリスクを負うしかないんです。
 
当たり前ですね。でも、最近はその当たり前が通用しなくなってきた、と嘆いておられました。皆(悪い意味で)真面目過ぎる、と。
 
そもそも熱い気持ちを持って仕事をしていたら、上司にいちいち口を出されたくないという気持ちの方が先に立つはずです。


その方は昔CCDイメージセンサーの開発を自力と独断により成功させ、その事を誇りに思っているようでした。技術界隈でのこれまでのイノベーションはきっとこういう方々によって生み出されてきたのでしょう。かっこいいですね~

 
「隠れてこっそりやれ」というのは、そんなエンジニアの性分を汲んだセリフなのです。上司も報告を受けたら、立場上色々と"つまらない事"を言わないといけなくなるからです。
 
ちなみに、僕はどうしているか? もちろん(言われるまでもなく)上司に報告なんてしませんよ!報告しないどころか、全く上司の指示通りに動きません。
というか昔から誰の話もほとんど聞いていませんから(←これは良くない)
 
でも、その分自分の判断や発言には責任を持って仕事をしています。
僕くらいのレベルになると、きっと将来は事業部トップどころではなく、社長になるでしょうね~(その前にクビにならなければ)
 
 
出張最終日には、皆でポルトガルの街ポルトのワイナリーに行きました。ポルトといえばポートワインが有名ですよね。

ポートワイン、甘くて芳醇な味でした。
長いものだと40~50年間もの間、樽の中で熟成されるらしいです。