CFexpress? SDexpress? 大混乱のメモリーカード市場を解説します

デジタルカメラが値上がりしていることは以前の記事で書きましたが、最近メモリーカードもめちゃめちゃ高いんです。さらにメモリーカードの種類が多すぎるが故に、どれを選べば良いか分からない人もたくさんいるはず。本記事では、現在大混乱中のメモリーカード市場についてちょっと解説してみます。

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目次

メモリーカードが高い！

昨今のセンサ高画素化や4K・8K動画によるデータ量の増加に対応するために、メモリーカード側でもデータ転送の高速化が必要になってきており、そのために価格も上がっているのですね。

SDカードに替わり現在段々と普及し始めているCFexpressカードは1万円以上するのが普通です。フルスペックになると2～4万円くらいはざらにしますし、もっと高いものもあります。さらに専用のカードリーダーも必要になりますから、導入コストは半端ないです。

CFexpressカードとは

CFexpressカードは、業界団体「CFアソシエーション」によって規格化された高速なメモリーカードです。現在市場には小型サイズの「CFexpressカード TypeA」と、大型でハイエンド機向けの「CFexpressカード TypeB」があります。TypeAの最高速度理論値は1GB/秒, TypeBは2GB/秒です。SDカードのUHS-IIがおおよそ300MB/秒ですから、CFexpressカードがどれだけ速いかお分かりでしょう。

SDexpressカードとは

カメラが好きな人なら聞いたことがあるかもしれません。CFexpressカードとは別に「SDexpressカード」という規格が存在するんです。これが話をややこしくしている。

SDexpressカードはその名の通り現在最も普及している「SDカード」の後継にあたります。SDカードの生みの親「SDアソシエーション」によって規格化されました。そしてこれも爆速の規格のため、CFexpressカードと競合する可能性があります。

当たり前ですが、SDexpressカードとCFexpressカードの間に互換性はありません。

SDexpressカードはまだ規格が存在するだけでメジャーなカードメーカーからの商品は市場に出ていませんが、現場で聞いた噂によると2023年中には出てくるのではないかと言われています。

CFexpressカードとSDexpressカードのどっちが次世代のスタンダードになるのか？

これはぶっちゃげ誰にもわかりません。デジカメの開発現場にいる僕でもわかりません。こういう話って、カードの性能だけでなく、各メーカーや業界団体のパワーバランスとか利害関係が大きく影響するのですよ。決して技術だけでは語れない大人の事情というか、、業界内の政治の話になってくるんです。。

現状各カメラメーカーはCFexpressカードとSDexpressカードのどちらに舵を切ればいいのか、決めかねています。それを判断するにはあまりに情報が乏しいからです。ハードの実装に影響する大きな判断ですので、方向性を間違えれば大ダメージを受けます。

カメラメーカーも困っているのですが、カメラユーザーからすればただただ迷惑な話ですよね。。。数万円するメモリーカードを購入しても、次世代のカメラではそれが使えなくなる可能性があるのですから。。。

CFexpressカードTypeAは消えるかも!?

ここからは僕個人の意見ですので、あまり真に受けないでくださいね(笑)

現在既にキヤノンとニコンがCFexpressカードTypeBを採用していることを鑑みると、ハイエンド機用としてはCFexpressカードTypeBが今後もますます普及していく可能性が高いと思います。

一方でもしSDexpressカードが市場に出てきたら、CFexpressカードTypeAは市場から姿を消すかもしれません。というのもSDexpressカードとCFexpressカードTypeAのサイズは似たようなものですし、両者のパフォーマンスにそれほどの差がなければ、既に市場に浸透しているSDカードと互換性のあるSDexpressカードの方が都合が良いからです。

現状CFexpressカードTypeAを採用しているのはソニーだけです。ソニーはおそらくカメラの小型化と高速化を両立するために早々にCFexpressカードTypeAに舵を切ったのだろうけれど、これはしくじったんじゃないかなぁ(笑)

そもそもまだSDカード買っとけば良いんじゃね？

上記のような混沌とした状況の中、どのメモリーカードを買えばいいか分からず二の足を踏んでいるカメラユーザーもきっとたくさんいらっしゃると思います。そのような方に僕からお伝えしたいのは、「SDカードを購入する事もちゃんと考えてください」という事です。(大きなお世話ですね)

そもそもほとんどのカメラユーザーにCFexpressカードやSDexpressカードはまだ必要ないんじゃないの？というのが僕の意見です。RAWやProResで動画を撮るなら話は別ですが、日常的な用途で使う場合SDカードのUHS-IIで十分事足りるはずです。4K動画を撮りたい人でもUHS-IIのビデオクラスの高いものを選んどけば問題ないです(ビットレートをものすごく上げたりしない限り)。

自分のカメラの使い方を整理して、必要な転送速度のメモリーカードを選んでくださいね。でないと無駄に高いお金を払うことになりかねません。

将来的にもっと高度な撮影をする場合に備えてCFexpressカードやSDexpressカードを買っておく、という考え方もあるとは思いますが、僕はやめておいた方がいいと思いますね。ご存知ない方が多いですが、メモリーカードは消耗品ですよ。

メモリーカードは「フラッシュメモリ」という半導体でできています。フラッシュメモリのデータ記録用のセルは使用するうちに劣化する性質があり、そのためメモリーカードには寿命（データ書き換え可能回数や保持期間）があるんです。なので高価なメモリーカードはそれが本当に必要になった時に買った方が良いです。