人工呼吸器、電動車椅子を常用する著者が自身の経験を基に書いた小説。第169回芥川賞受賞作。
健常者優位主義に対する怒りをぶちまけたような内容でかなり内容は過激ですが、共感できる所は大いにありました。
日本では社会に障害者はいないことになっている、というこの一節は本当にその通りだなと思いましたね。そしておそらくここでの”障害者”とは一つのメタファーに過ぎない。この著者が本当に怒っているのは、もっと広い意味での「社会における弱者と強者を分ける固定観念」についてだと思います。
紙の本を自分の体で支えられない著者は、受賞式で読書バリアフリーの普及を強く訴えたそうですね。電子書籍や朗読ソフトが普及すれば身体障害者や視覚障害者ももっと自由に読書を楽しめますから。
お恥ずかしながら僕は"読書バリアフリー"という言葉があること自体初めて知りました。。きっとこのような無知がおかしな社会を作っているのでしょう。
それにしても著者の文章技術はすさまじいですね。ハプバーの描写とか風俗嬢のすれてる感じとか、すごく書き方が上手いです。重苦しい内容の本ですが、ちょっとニヤニヤしながら楽しんで読めました。