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映画)コンパートメントNo.6_監督 ユホ・クオスマネン_2021

 

コンパートメントNo.6

コンパートメントNo.6

  • セイディ・ハーラ
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2021年のカンヌ映画祭でグランプリを受賞した作品とのことで観てみましたが(カンヌの受賞作は一応チェックしている俺)、結構良かったです。
 
監督はフィンランド人のユホ・クオスマネン。アキ・カウリスマキに続くフィンランドの新星、らしいですね。
 
舞台は携帯もSNSもない90年代。恋人に振られ傷心中の女性が世界最北端のペトログリフ(岩面彫刻)を観るため一人で旅に出るが、ロシアを長距離移動する列車で同室になった男がサイテーなクソ野郎だった、という話。(しかし後にお互いの不器用な優しさに気付き、惹かれ合う)
 
この映画は同名の小説を基にしているとのことで、良い旅とは何か、改めて納得するような内容。90年代の話なので、人同士の距離感が今とは大分かけ離れていてついていけないところも正直あったけれど、、、
 
途中いきなり登場してきた素性の知れないおばあさんが人生についていろいろ語るシーンが好きでした。短いシーンですが何かしら本質的なものが描かれている気がします。観てる方としては「誰?」って感じなんですが、その後も何の説明もないのがまた良い(笑)
 
最終的に主人公はペトログリフっぽいところに到着するけれど、それが本当にペトログリフなのか、それを観て主人公がどう感じたのか、それも全く説明がなかった。
 
こういうところはアキ・カウリスマキ監督に似てるといえば似てますね〜
 
そしてラストシーンが絶妙。手紙に書かれた「くたばれ」の文字を見て、主人公は吹き出してしまう。恋人に振られて、旅もめちゃくちゃなことだらけで、そこに「くたばれ」。もう堪えられない、というように笑う。
 
若い頃引きこもりだった山田ルイ53世は
「暗闇の中でじっとしている時期があるのも悪くない。そういう時にしか壁に空いた小さな穴から差し込む一筋の光には気づけないから」と何かのインタビューで語っていて共感した覚えがありますが、ラストシーンの主人公の笑顔はそんな感じかなぁと思いますね。