芥川賞に選ばれた本書。とてつもなくチャレンジングなテーマを扱っているので、理解不能な部分も多くありました。でも、分からないと言って切り捨てるのも違うかなと思いますね。
食事をするのが面倒臭いって、子供の時皆思った事あるんじゃないですかね?
今でも良く覚えてますが、子供の頃ゲームやテレビに夢中になっている時に、母親から「ごはんだよー」って呼ばれると、面倒臭いを通り越して軽い怒りすら覚えていました。(食事を用意してもらっている分際で失礼な話ですが)
でも、いらねーよ!とは言えないんです。人間、食べないと死にますから(笑)
実はこの感覚、このもどかしさの中に何か大事なものがあったのかもしれないなと、この本を読んで思いました。
そもそも"食べる"って何なんでしょうね。食べないと死ぬって、時限爆弾を背負っているのと同じじゃないか!
これは何かおかしいゾ、なぜ食べないといけないんだ?生きるって何なんだ?って子供の時、めちゃめちゃ不思議でした。
それが大人になるとどうですか?料理に詳しい人やおいしい店を知っている人の社会的な評価は非常に高いですよね。「食事の事なんか知らね〜よ、興味ね~よ」って顔をしていることは恥ずかしいことだ、という価値観が蔓延している。
そしてさらに、なるべく自炊をして栄養のあるものを作って食べましょう、なんてことまで言われる。
それはあまりに人生を食事にコントロールされすぎているのではないか?──つまりこれが小説で描かれている現代社会に対する違和感でしょう。
そもそも人間は食事をすることを自ら選んだわけではない。誰かが勝手にそう決めたんです(神様か誰かが) 。食事をしないと生きられないなんて、それは本来面倒なルールでしかないはずです。
「おいしい!おいしい!」って皆でごはんを食べている大人達は、神様の仕掛けた罠にまんまとハマり過ぎなのでは? なぜそのイカれた輪の中に入って行くことが"常識的"とみなされるのだろう??
この気持ち、、、僕は分からなくはないですね。でも一方で、おいしいなら別にいいじゃん、という感じもしますね(笑)