脱力系ぷかぷかドイツ日記

省エネぬくぬくドイツ暮らし

ヘッセン州の田舎町でデジカメの開発してます

本)スタート! ドイツ語B1_岡村りら他_2022

獨協大学外国語学部ドイツ語学科の教員の方々によって書かれた『スタート!ドイツ語』シリーズ。
 
ようやくB1編をひととおり読み終わりました。なんとB1編読み通すのに16ヶ月もかかった(笑)それは他の勉強を並行してやっていたのもありますが、やっぱり単純に難しくて文章を読むのに時間がかかりましたね。
 
でもB1編を読破して自信もつきました。ここまでやれば、日常生活で必要な語彙には大体出会ったのかなと思います。(全然まだ記憶は定着してませんが)
 
『スタート!ドイツ語』シリーズはA1、A2、B1と現在出版されている分については全部読んできたわけですが、使いやすくて好きですね。文法を一通り学んだ人なら基本誰にでもおすすめできる良書だと思います。
 
ただB1編は例外的な文法がちょっと多すぎなのでは?と思いました。特殊な構文に関してはもうちょっと解説が欲しかったです。残念だったのはそこだけですね。
 
B1試験に合格するのが今の目標ですが、『スタート!ドイツ語』だけでは全然足りないので、これから語彙の強化と試験問題の対策をやっていくつもりです。
 
ところで、『スタート!ドイツ語』のB2編(以降)も出るんでしょうかねぇ。。?出たら多分買うと思います。

映画)コンパートメントNo.6_監督 ユホ・クオスマネン_2021

 

コンパートメントNo.6

コンパートメントNo.6

  • セイディ・ハーラ
Amazon

 

2021年のカンヌ映画祭でグランプリを受賞した作品とのことで観てみましたが(カンヌの受賞作は一応チェックしている俺)、結構良かったです。
 
監督はフィンランド人のユホ・クオスマネン。アキ・カウリスマキに続くフィンランドの新星、らしいですね。
 
舞台は携帯もSNSもない90年代。恋人に振られ傷心中の女性が世界最北端のペトログリフ(岩面彫刻)を観るため一人で旅に出るが、ロシアを長距離移動する列車で同室になった男がサイテーなクソ野郎だった、という話。(しかし後にお互いの不器用な優しさに気付き、惹かれ合う)
 
この映画は同名の小説を基にしているとのことで、良い旅とは何か、改めて納得するような内容。90年代の話なので、人同士の距離感が今とは大分かけ離れていてついていけないところも正直あったけれど、、、
 
途中いきなり登場してきた素性の知れないおばあさんが人生についていろいろ語るシーンが好きでした。短いシーンですが何かしら本質的なものが描かれている気がします。観てる方としては「誰?」って感じなんですが、その後も何の説明もないのがまた良い(笑)
 
最終的に主人公はペトログリフっぽいところに到着するけれど、それが本当にペトログリフなのか、それを観て主人公がどう感じたのか、それも全く説明がなかった。
 
こういうところはアキ・カウリスマキ監督に似てるといえば似てますね〜
 
そしてラストシーンが絶妙。手紙に書かれた「くたばれ」の文字を見て、主人公は吹き出してしまう。恋人に振られて、旅もめちゃくちゃなことだらけで、そこに「くたばれ」。もう堪えられない、というように笑う。
 
若い頃引きこもりだった山田ルイ53世は
「暗闇の中でじっとしている時期があるのも悪くない。そういう時にしか壁に空いた小さな穴から差し込む一筋の光には気づけないから」と何かのインタビューで語っていて共感した覚えがありますが、ラストシーンの主人公の笑顔はそんな感じかなぁと思いますね。

映画)PERFECT DAYS_監督 ヴィム・ヴェンダース_2023

www.perfectdays-movie.jp

 

素晴らしすぎて2回観ました。
 
東京のスカイツリーの周辺の地域でトイレの清掃作業員として働く男の日々を描いた作品です。一見すると孤独な中年男性なんですが、生き方が丁寧で、日常のささやかな喜びを大切に生活していて、仕事も一生懸命やるし、すごく魅力的で徐々にハマっていきました。
 
幸せって何なのか、ハッとするようなシーンの連続で、自分もこういう風に生きていきたいと強く思いました。
 
昼間は仕事を精一杯やって、銭湯に行って、夜は店に行ってちょっと酒飲んで、寝る前に本を読む。たまにトラブルも起きはするけれど、、つまるところそれでPerfectじゃないか、ということです。何はなくとも。
 
色んなことをやらなくちゃいけない、色んなことを知っておかなくちゃいけないというプレッシャーを皆が背負ってる現代だからこそ、この映画の存在は貴重ですね。きっとやるべきことなんて何もないんですよ、本当は。
 
ってか、こんなシンプルな映画をヴィム・ヴェンダースが撮ったっていうのが良いなぁ!巨匠なのに新人みたいな作品です(もちろんいい意味で)
 
個人的に古本屋で本を買うシーンがめっちゃ好きです。ただ本を選んで買うだけなんですが、何故かものすごく楽しそうに見える(笑)

米巨大半導体企業の面接受けてみた

先日とある米大手半導体メーカー(のドイツ支社)の面接を受けました。結果的には一次面接後に選考を辞退したのですが、今回の件の全経緯を以下にまとめておきます。
 

まず事の発端ですが、今年5月初旬にイギリス在住のリクルーターからLinkedInを通じてコンタクトがありました。顧客の米大手半導体メーカーがエンジニアを募集しているので面接に進んでみないか?とのこと。

 
アメリカの半導体企業でパッと思い浮かぶのはIntel、NVIDIA、Broadcom、Qualcomm、AMD、、、あたりでしょうか。今回リクルーターから紹介されたのは上記企業のうちの一社です。
 
ぶっちゃげ僕は今の会社に満足しているので転職する気はあまりなかったのですが、社名を聞いて、
アメリカの大手企業の雰囲気ってどんな感じなのかちらっと覗いてみたいと思ったのと、
・もしかしてめちゃくちゃ給料良いかも!?(笑)
と思ったので、試しに面接に進んでみることにしました。
 
まずはリクルーターと1対1の軽い打ち合わせから始まったのですが、驚いたのはリクルーターがJob Descriptionを僕に見せるより先に(つまり募集ポジションの詳細を明かすより先に)、僕にCVを要求してきたことですね。まずリクルーターが候補者のCVを人事に送って興味を示せば、一次面接が設定され面接官から募集ポジションについて説明があるだろうとのこと。
 
おそらくこれは会社の戦略が外部に流出しないようにするための対策なのだろうと思いますが、流石にはぁっ!?って感じでしたね。高飛車すぎだろ(笑)
 
この時点でリクルーターから知らされたのは、以下の点のみ。
・カメラ画像処理のエキスパートを募集している(←広すぎる表現)
・自動運転関連の仕事(←これも広すぎる表現)
・勤務地(ミュンヘンとか謎に3つ位候補があった)
 
こんな高飛車なやり方をしても、優秀な人材は勝手に集まってくるから問題ないよ、って話なんでしょう。まぁ、大手だし。
 
※ちなみに余談ですが、GAFAMレベルの人気企業になると毎日世界中からCVが大量に届くらしく、基本的に全く読まれずに全部ゴミ箱行きになっている、という話を聞いたことがあります。
なので面接に進みたいなら
・リクルーター経由で応募するか
・現地で働いている社員の紹介
でないと基本的に無理らしいです。
 

というわけで、渋々英文でCVを書いてリクルーターに送りました。(めんどかった。。)
 
そしておおよそ2週間後、リクルーターから再び連絡がありました。CV審査にパスしたとのこと。やった!
 
そしてその後また数週間待たされましたが、リクルーターと事前準備ミーティングをやり、6月中旬にようやく本番の一次面接に招待されました。最初にリクルーターからコンタクトがあった日からおよそ一ヶ月半が経過していました。
 
んで、面接当日。面接はオンラインで行われました。面接官は1名で、入社後の上司になるであろうエンジニアの方でした。国籍は分かりませんでしたが多分ドイツ人ですかね?少なくともアメリカ人ではなかったです。
 
面接官は出張中だったらしく、外の公園のベンチのようなところに座ってスマホで面接に参加してました。なかなかラフですね(笑)
 
面接ではまず僕の現在の仕事内容を軽く聞かれたあと、いきなり技術的な会話になりました。とは言っても、カメラ画像処理の基本的な知識を問う質問ばかりで、特に厳しい質問はなかったです。全部上手く答えられたと思います。
 
約20分に渡って僕を質問攻めにしたあと、ようやく面接官は言いました。
 
ところで今回の募集ポジションは開発ではなくカスタマーサポートなんだ。顧客がうちの半導体商品を導入する際の技術的なサポートがメインの業務だ。興味ある?」
 
はあっ!?いや、ねーよ!開発じゃないなら転職しねーよ!
 
そもそも僕は現在半導体の開発をやってるエンジニアなので、リクルーターとの準備ミーティングでも、「転職するなら開発がやりたい」ときちんと伝えていたのに。。
 
Job Descriptionを隠したまま面接をするとこういうミスマッチが発生するのは分かりきってるし、こちらだけでなく面接官側も時間をロスすることになるのに、そうまでして会社の戦略の機密を優先するのか。。わけわからん。
 
というわけで、一次面接が終わったあとリクルーターを通してソッコーで辞退する旨を伝えました。今まで費やして来た時間は一体何だったんだ。。(笑)
(リクルーターからは「今後君に合いそうな開発ポジションの募集が出たらまた紹介するよ」との言葉を頂きました)
 
はい、僕の初めてのアメリカ企業面接体験記は以上となります。残念ながら一次面接で終わったので大した体験にはなりませんでしたが。。
 
なにはともあれ、LinkedInにきちんとプロフィールを登録しておくことは大事だと改めて感じました。リクルーターと繋がらない限り、何も話は始まりませんからね。
 
LinkedInを使った海外就職のコツはこちらの記事で詳しく書いてますので、良かったら参考にしてください↓
おまけ
ちなみにアメリカ企業といえば、突然の解雇や長時間労働等、労働環境がヤバいイメージがあるので、ちょっとその辺について面接中に聞いてみたんです。
すると面接官曰く、
我々サポートエンジニアは顧客が抱えるトラブルをタイムリーに解決しなければならない。問題は時にものすごく複雑で、しかも緊急で対応しなければならないこともある。そのような時我々はかなりストレスフルな状況下で仕事をしなければならないが、トラブルを解決出来た時の喜びもまた大きい」とのこと。
 
いや、自分でストレスフルって言ってしまってるやん!(笑) 怖っ!(笑)
 
話を聞きながら、イーロン・マスクの顔が脳裏に浮かびましたね(笑) Twitterを買収した時、社員に「激務に耐えられない者は退職せよ」と通告したそうですが、アメリカ企業ってどこでも似たようなものなんでしょうか。。いくら給料が良くてもねぇ、僕なんかはそんな過酷な環境で働きたいとは思わないけどなぁ。
 

本)顔面麻痺_ビートたけし_1994

 

 

Amazonで1円で買った本なのですが、素晴らしかったです(笑)

 
バイクですっ転んで、顔が半分潰れて、、それで顔面麻痺の手術を医者に勧められるわけだけれど、同じ状況に置かれた人ならほぼ全員が受けるであろうその手術をビートたけしは拒否した。
その理由や考え方には流石だなと思うところがあります。(説明不能なので気になる人は、自分で読んでください)
 
いや頭で考えるというより、大事な物事ほどこの人は動物的な勘で決めている。そうそう、この本で何度も何度も繰り返し主張されているのが直感の大切さですね。
 
入院中は「あの時事故で即死していれば楽だったのに」と思ったこともあったらしいですが、そこからメラメラと復活して、最終的に顔面麻痺でもなんでも引きずり回して生きていくという覚悟を決めます。
 
そして実際退院後も良い映画作り続けて活躍してるんだからビートたけしって本当にすげー人だよな、、、
 
この本の中で、もし人間に痛みというものがなかったら皆が「めんどくさいから死ぬか」みたいな軽いノリでバンバン電車に飛び込んじゃって困るから神様は痛みを人間に与えたんだろう、という話が出てきてとても面白いと思いました。つまり「神様は基本的に人間に生きて欲しいと思っている」と。ふーむ、考えれば考えるほど訳が分かりませんね。

映画)エンディングノート_監督 砂田麻美_2011

 

熱血営業マンだった父親が引退後、胃がんに侵されて亡くなるまでの姿を、実の娘がカメラに収めドキュメンタリー映画として発表した作品。ちょっと残酷なんじゃないの?ってくらい、執拗にカメラを回し続けてます(笑) 親子の絆があるからこそ撮れた映像ですね。

 

印象的なのは、父親が死の数週間前まで医者に冷静に病状の質問をしている様子。亡くなったのが69歳という若さだったため頭は冴え渡っていて、病人とは思えないほど滞りなくどんどん質問を繰り出している。

 

しかし医者はもちろん先が長くないことを分かっているし、家族にもそのことを伝えていて、そしてその通告通り父親は急にどんどん衰弱してあっという間にこの世を去る。

 

当人が一番訳がわからないという顔をしていてそれがなんかリアルでしたね。。人が病や寿命で亡くなる時ってその前に寝たきりになっている期間が長く続くと思っていたけど(もちろんそういう人もいるでしょうけど)、多くの人は死ぬ直前までバタバタと忙しく活動しているものなのかもしれない。そういうイメージは今まで持ったことがなかったです。

本)クラシック音楽を10倍楽しむ 魔境のオーケストラ入門_齋藤 真知亜_2019

 

 

プロヴァイオリニストによって書かれた本。クラシック音楽入門者のガイドブックのような本を期待して買ったのですがそういう本ではありませんでしたね(笑) あくまで、オーケストラの演奏者の視点からクラシック音楽の裏事情を解説した本です。

 

でも読んで良かったです。とても面白かった。平易で率直な文章ですが、ときおりハッとするような深い音楽観が垣間見えることがありました。

 

印象的だったのはヴァイオリニストの英才教育のすさまじさですね。プロヴァイオリニストのほぼ全員が3、4歳から訓練を始めているらしいです。

本書には著者の自叙伝的な内容も含まれているのですが、子供のころからまあ厳しい訓練を受けてきています。。。今の時代だったらパワハラになるようなレベルの(笑)

 

その他にも楽団員の生態、オーケストラにおける各役割分担、指揮者とオーケストラの関係等々、知らないことばかりでした。この本を読んでからコンサートに行けば、楽団員の見え方、音楽の聴こえ方がかなり違ってくると思います。